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マイクロソフトが密かに開発を進める次世代OS「Midori」――その正体は?

マイクロソフトが密かに開発を進める次世代OS「Midori」――その正体は?

Windows時代」にピリオドを打つのか? 幾多の未完プロジェクトの1つで終わるのか?


「米国MicrosoftWindowsからまったく別のOSに移行する可能性はあるのか?」――今さら何てバカげた問いかけを……と読者に思われるかもしれないが最近、Microsoft社内から漏れたある内部文書に書かれた内容がメディアをにぎわしている。にわかには信じられないかもしれないが、そこには、MicrosoftWindowsから新しいOS「Midori」への移行を検討中だとはっきり記されているのだ。

Midori──ゼロから設計されたMicrosoftの次世代OS

 ここで言う「新しいOS」とは、従来のOSとはまったくの別物という意味だ。Microsoftの技術戦略担当シニア・バイスプレジデントのエリック・ラダー(Eric Rudder)氏の下で進められているとされるMidoriプロジェクトは、デビッド・カトラー(David Cutler)氏が生んだWindows NTやジム・オールチン(Jim Allchin)氏が統括したWindows Vistaといった既存のOSの化粧直しではなく、完全な新OSとなるという。

 Midoriは、複数のハードウェア・システムと仮想マシンVM)で稼働する分散型OSとして、ゼロから設計されているという。常にシングルユーザー向けのPC用OSとして設計されてきたWindowsから大きく様変わりするわけだ。

 実は、シングルユーザー前提の設計こそ、Windowsのセキュリティが脆弱とされ、米国Symantecや米国McAfeeなど、数十のマルウェア対策製品ベンダーが何十年にもわたってビジネスを続けてこられた大きな理由でもある。にもかかわらず、MicrosoftにとってWindowsはドル箱製品だったことから、大々的に手直しが入ったことは一度もない。だが今、それが変わろうとしているというのだ。

 Microsoftの本社敷地に入れてもらえなかった筆者としては、内部文書の内容から、同社でMidoriが極秘プロジェクトとして始まったと想像せざるをえない。おそらく当初の目的はいくつかのアイデアを試すことだったはずだ。この種のプロジェクトは大手テクノロジー・ベンダーでは日常茶飯事だ。しかしながら、そのほとんどは実を結ばずに消えていく。

Vistaの法人市場での不調のリベンジか

 

 では、Midoriプロジェクトはなぜ今も続けられているのだろうか。筆者が思うに、鳴り物入りで投入したVistaの企業での売れ行きがかんばしくなく、この事実がMicrosoftにとって相当ショックだったのではないだろうか。

 同社の失敗は、他にもたくさんある。真っ先に頭に浮かぶのは、1995年に発表されたWindows系の次世代GUIプロジェクト「Microsoft Bob」だが、Vistaの失敗はその比でないと筆者は考える。Mac OSLinuxWindowsの牙城を切り崩し始めているのも、ユーザーがVistaに「ノー」を突きつけているからにほかならない(Vistaに利点がたくさんあることは私も認めているが)。

 LinuxデスクトップやMacWindowsから市場シェアを奪っているとは、たいていの人にとっては信じがたいかもしれないが、実際のところそうなのだ。英国市場の話になるが、6月に販売された全PCのうち2.9%がLinux搭載PCだった。また、米国内で販売された全PCのうち、14%はMacだ。ユーザーはもはや無条件にWindowsを買っているわけではなく、Microsoftもそのことに気づいている。

 Microsoftは、「Mojave Experiment(モハベ・エクスペリメント)」というWebサイトを通して、Vistaが提供するユーザー・エクスペリエンスがいかにすばらしいOSかを懸命にアピールしている。筆者も同サイトにアクセスしてみたが、Appleの「MacBook Pro」では「Safari」がクラッシュし、OSにopenSUSE Linuxを搭載したPCでは「Firefox」に表示できなかった。Windows XP SP3のシステムでどうにか表示させたところ、Vistaでうまくいかなかったのは筆者のせいだと言われた……。

Midoriの製品化――筆者の予想は2013年ごろ

 

 Windowsの時代はあまりに長すぎた。デスクトップ環境でもクラウド・コンピューティング環境でも動作し、ネットワーキングが当たり前という新時代のOSに簡単に手直しできないのだ。Microsoftはこれまでとまったく別種のOSを必要としている。

 しかし、はたして本気でWindowsを捨てる気はあるのだろうか? 私はあると思う。Microsoftは、Vistaの失敗により、昔と同じOSを作り変えるだけでは済まなくなったことをはっきりと理解した。もちろん、従来の顧客を逃すわけにもいかない。そこで、同社はWindowsのレガシー・サポートに仮想化技術で対応しようという算段だ。こうすることで、レガシー・アプリケーションもしっかりサポートし、従来のエンドユーザーにも満足してもらえるというわけだ。

 結局のところ、Microsoftは本当にMidoriを実現させるつもりなのだろうか。もし、そうだとしても、しばらくは実現しないと思う。早くても2013年ごろではないかと筆者は予測している。あとは当然、同社CEOのスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏がゴーサインを出すかどうかにかかっているが、それはまずないはずだ。筆者には、バルマー氏がそこまでの大胆なビジョンを持っているとは思えない。Midoriが現実になるとしたら、それはもはやMicrosoftが経営陣を刷新してからのことだ。同氏がCEOであり続けるかぎり、次期OSはWindows 7 SP1か、Windows Vista SP4になりそうだ。個人的には、Windows Vista SP4であってほしいと願っているが……。